画像は書籍版から。
唐突ですが、無職転生の初読感想を始めます。

小説家になろう系列、色んな偏見は耳に入ってきますが、一切読んだ事ないんですよね。
偏見だけ耳にしてるのも良くないので、自分で読んで判断してみようと思ったワケです。

という事で、Twitterで紹介された『無職転生』から読んでみる事にしました。
「19話まで読んで」との事でしたので、まぁ試読程度でやってみようかなーと。
結論から言うと、偏見を吹き飛ぶぐらいには面白かった。
そして最終的に色々あって262話全部読む事になりました。

せっかく感想書いたので、纏めていくぜ!

一応未読の方でもある程度読めるような感想にしてるつもりだから、知らない人も良かったら流し読みしてみて!
気になった人は小説家になろうで全話無料で読めるので、宜しければどうぞ。

小説はちょっと……っていう方は、コミカライズもされてるみたい。
ここで2話までなら無料で読めます。

なろう系は完全に知識ゼロでのスタート。
あまり忖度せずに、正直に感想を書いてますよー。

理不尽な孫の手 (著), シロタカ (イラスト) KADOKAWA (2014/4/24)
フジカワ ユカ (著), 理不尽な孫の手 (その他), シロタカ (その他) KADOKAWA (2014/11/23)

第1章 幼年期

プロローグ

  • 34歳で何をやっても続かない小太りニート
  • 唐突に挟まれるブリッヂオ○ニーという単語
  • 中学3年生から引きこもり
  • トラックに轢かれて異世界転生

うおぉ……逆にこっちが面食らうぐらいストレートに”それっぽい”な。
でも現世での後悔から「転生先では謙虚に真面目にやろう」と人生を前向きにやり直す動機にしてるのは良いな。

第3話「魔術教本」まで

主観視点で0歳からスタート。
理屈っぽい主人公と一緒に魔術・剣術の設定や世界観を理解していく感じですね。
なるほど、こりゃ自己投影しやすい。

驚いたのが(失礼ながら)”ちゃんと読める文章”なこと。
ラノベとして過不足なく、読みやすい文章だ。
これは思ったより楽しんで読めるかもしれないぞ

第7話「友達」まで

家庭教師ロキシーのもと、魔術の勉強だ。
「教える事はない」という事で卒業して、5歳でロキシーとはお別れ。
引きこもりのトラウマで外出できなかったのがロキシーのおかげで克服でき、一人で外に出て友達ができるというお話。

さすがに世界観設定の説明が長引いてきたなーって所で話が進んで良かった。
もう少し遅かったら飽きていたぜ。
自分の前世の体験からイジメは許せないって描写に、実感のこもったリアル感を感じました。
主人公が共感が示せる人格者っぷりで、徹頭徹尾 ターゲット層が感情移入しやすい主人公だ。

11話「離別」まで

女性絡みの描写になると途端にキツいな。
心配が膨らむ中、「幼馴染シルフィがこのままだと主人公に依存して何もできなくなる」という心配を父親がしてくるのは良い意味で意外。
ちゃ、ちゃんとしている……!

2章から新環境だけど、父親以外の主要キャラが全員女性なのすごいな。

あと父親とのガチ戦闘描写があったんだけど、過不足なく攻防がしっかりと描かれていて面白かったです。
将来的に剣術も魔術も相当なレベルになった主人公のバトルが描かれるんだろうけど、ちょっと楽しみかもしれない

第2章 少年期 家庭教師編

第15話「職員会議と日曜日」

ワガママお嬢様エリスの家庭教師を頑張る話なんだけど、一気に読み進めてしまった。
存外面白いのでスラスラ読めるぞ。

主人公が子供ながらに優秀なんだけど、1章から一貫して主人公より遥かに強い人が身近にいるので、主人公も謙虚。
鼻につかない俺TUEEEである
作者さん、教育の理解が深いのか、そこらへんの配慮と描写が結構丁寧だな。

第17話「言語学習」

うぉぉ、お嬢様の教育ストーリーを楽しんでたら、何か急に世界観説明が怒涛のように押し寄せてきたぞ。
このタイミングで情報増やすって事は何かあるのか?
もうすぐTwitterで「ここまで読んで」と言われた19話だな。

第19話「ターニングポイント」

ぐあぁぁ!やられた!なんだこのヒキは!
「ここまで読んで」って言われたのはこういう事か!
19話まで読んだら次の作品に行こうと思ってたのに!

さて当初の予定である19話まで読んだ訳ですが、これは……続き読むしかないでしょ。
ここまで1日で読み進んでる時点で明らかに楽しんでるんですが、何より作品として19話までが明らかに“前振り“なんですよね。
いくら傾向を把握するための試読だったとはいえ、「冒頭だけ読みました。思ったより面白かったです」は読者として不誠実過ぎる。
キリの良い所まで読みます!

2章19話まで読んでの振り返り

当初の予定である19話まで読んだので、現時点で振り返ります。
なろう系はダメな自分が異世界に脱却する事で安全圏で楽々成功する姿に感情移入して楽しむ」ような偏見があったんですね。
確かに外側はそれっぽいんだけど、本作に関しては今の所、それは面白さの要訣ではないです。
これは実際読んでみないと分からなかったですね。

まず”安全圏で楽々成功”って事が違う。
少し触れたけど作者さんは多分教育に造詣が深いと思う。「指導者による正しい基礎教育によって結果が出る」という考え方が徹底していて、実際5歳で数万人に1人の魔術師になった主人公ですけど、そこから指導者ロキシーが離れた5年間で魔術面では明確な成長がなく、行き詰ってるんですよね。

主人公が家庭教師をしたワガママお嬢様エリスや、脳筋の剣豪ギレーヌも、“相手に合わせた粘り強い教育”によって良い方向に結果が出ているんですよね。
教育における悩みの過程や試行錯誤も、ターゲット層が辟易しない範囲で不足なく描かれていて、ここらへんの描写が「思ったより地に足が付いてるな」と私には好感触です。

「指導者による適切な教育の強さ」が確立してるんで、主人公や他のキャラにとって“出会い”が大きい意味を持つのはとても良いです。
19話時点で主人公は成長面で何点か行き詰まりや、逆に成長の可能性が示されてるですけど、恐らくこれも”出会い”によって良い結果に導かれていくんだろうな、と期待してます。

ただ先の展開に大いなる不安が1点だけ。
「女性・恋愛関係の描写がキツい」。
その理由が作者起因なのか読者起因なのかは敢えて問いませんけど。

現状主人公が子供なのもあって抑えられてるんですけど、青年になって性描写が出てくる伏線をヒシヒシと感じてて、この頻度によっては心が折れるかもしれません。

第3章 少年期 冒険者入門編

第20話「神を名乗る詐欺師」

上位存在の接触キタ!
“物語は次のステージへ”ってやつだ!
都合良く乗っかるかと思ったら「そんなに疑ったら可哀相だよ……」ってぐらい上位存在を詐欺師扱いする主人公で笑う。
今世では割と人格者なんだけど、やっぱり前世のトラウマがすご過ぎてリアルな歪み方してるな。

第23話「信用の理由」まで

ちょっと前の怒涛の設定開示と言語習得は、この展開に繋げる為だったのか。仕方ないね。
世界中で嫌われているスペルド族のルイジェルドさん(名前覚えにくい)、かなり悲惨な経験で悲しい。
しかしこれ、「歴史の裏側」と「歪んだ事実に基づく差別」もテーマにするつもりか。
そりゃ262話あるよ。えらいモンに手を出してしまったぞ。

第26話「冒険者ギルド」まで

冒険者ギルドの登録とクエスト登場。
一気に偏見的なろう展開になってきたけど、これまで培った描写と、ルイジェルドさんの地位向上という中期目標があるので、辟易するどころかワクワクして読めるぞ。

第31話「子供と戦士」

うん、退屈しないよう納得できるショートカットも使いつつ、地に足のついたクエスト描写だ。
主人公が色々策を巡らせた結果だけど、最後に慢心による失敗をする事で上手くトントン拍子にいかないようにしてるのはさすがだ。
(さすが、という表現が出来るぐらいには作品への信頼度が上がってきたぞ)

第32話「失敗と混乱と決意」

これだけは上手く進んでると思っていたルイジェルドさんの地位向上計画が失敗とは驚いた。
なろう系って何だかんだ言いながら中期目標程度は楽々達成するもんじゃないの……?

種族の偏見なんかそう簡単に無くならんのが現実だけど、本当にちゃんとしてるな。
今まで四苦八苦していた主人公が、失敗した事も「もうどうでもいいや」と一瞬投げだすのもリアル。

第33話「旅の始まり」

3章終了。
失敗をちゃんと反省材料にしてチーム内での報連相を徹底するようにするの、主人公が中3から引きこもりとは思えない問題解決力だけど、建設的で大変良い!
失敗しながらも上手くいくところをダイジェストで流して1年経過。
気持ちの良いテンポだ。
というかオイオイ3章まできたぞ?どうするの?
このまま4章突入する?

第4章 少年期 渡航編

第34話「ウェンポート」

まぁ当然のように4章も読むんだけどね。
主人公チームの名前が冒険者ギルドで売れててニヤリ。
安易な展開にさえしなければ「周囲に認められる」って正当に良いカタルシスなんだよ。
最後に上位存在こと人神の登場。
ちょっと仲良くなっとる……。
都合良く先を示してくれるなーとは思いつつ、状況が状況なので有効活用してくれてOK。

ところで少年漫画脳の私としては、そろそろ主人公もパワーアップしてもいいのよ?となってきている。
装備は整ったけど、5歳時から新呪文習得など明確なパワーアップはしてないのだ。
まさか”なろう系”読んでこんな感想を持つとは思わなんだよ。
絶対一人パワーインフレ起こすと思ってた。

第35話「すれ違い・前編」

そんな事言ってたら主人公が唐突に魔眼を手に入れたぁーッ!?
いやホント、さっきの感想は先を知ってて言ったわけじゃないからね?
そろそろパワーアップして欲しいなって本当に思っただけなんだ。
マジで怖いほどの偶然だ。

なんだこれ……作品との相性良いのか……?

第35話「すれ違い・後編」

主人公「魔眼はズルいし成長を妨げるので普段は使わない」
マジか。習得してすぐこの判断とは、相変わらずちゃんとしてるな……

第43話「聖剣街道」まで

一気に読み進めて4章終了。
久しぶりに後半まったりしたなー。
ここら辺で気が付いてきたけど、主人公の共感できなかったエロ言動も結局一歩手前で実行しないんだよね。
偽悪的というか、本気じゃない感じがするので、読んでて嫌に感じなくなってきた。
もしくは私の方で耐性がついてきたかな?

第5章 少年期 再会編

第46話「親子喧嘩」まで

父親パウロとの再開。
長かったけどこれで一安心!と思ったら……結構なスレ違いが。

上手いなと思ったのが、このスレ違い方が結構リアルで、作劇上の無理矢理感がないんですよね。
「登場人物をケンカさせる」って結構難しいんですよ。
有名作品でも「あそこは無理矢理だった」とか言われてるシーンはいくつかあります。
特にすれ違いって難しくて、「明らかにアイツの方が悪いだろ」みたいにキャラにヘイトが集まったりしかねない。
今回は本当に「うまくすれ違ってるな」という感じで、作者さんの地力の高さが分かりますね。

しかしそれでも物語的には一段落だ。そろそろ次の大目標が示されそうな予感がするけど……どうなるのか見当つかないね。

第47話「パウロとの再会」

父親との和解。
オイオイ何だよ!ホロリときちまったじゃないか!
主人公、引きこもり時代の辛い記憶から、父親が精神的に弱っている事に理解を示す。
そして相手の気持ちを察して自分から歩み寄るとか、もう……立派だ!感動した!
「引きこもりニートからの転生」という要素を、精神的な成長にうまく転用している!
面白いぞこの作品!

振り返ると無職転生、ニートからの転生という要素の活かし方が上手い。

  • 本気で人生に取り組む
  • イジメられる辛さを理解する
  • 騙す人、嫌な人の対処法
  • 精神的に弱っている人に理解を示す

転生要素を知識マウントとか安易な使い方せず、過去の後悔や反省を活かして、精神的な成長に繋げてるんですよね。
すごく好印象。
現状、前世からの最大の知識マウントは卵かけご飯ですからね。

第6章 少年期 帰郷編

第58話「一人前」まで

一気に読み進めてしまった。
最後不穏な終わり方になってるんだけど何……?
もうどう見ても誰か死ぬとしか思えないヒキなんですけど。
更に59話のサブタイトルが「ターニングポイント2」という所でもう不穏な気配しかないぞ。

第59話「ターニングポイント2」

げ、いきなりオルステッド!?龍神じゃねぇか!人型だったの!?
主人公だけ怖がってないし、存在を知られてなかったのは今後の伏線になるのかな。
相変わらず戦闘描写が読みやすくて分かりやすい。
そして全体的に漂う負けイベント的緊迫感。
どうしようもないぞコレは……

とりあえず主人公、1回死んだけど生き返らせてもらえるっぽくて良かった。
そう考えると魔法無効化を見て「自分にも出来そう」とか、エリスが水神流の奥技っぽいのを受けたりとか、戦いの経験値になる要素が結構描写されてるな。
つまり、将来的に7大列強と戦う展開があるのか。
ワクワクするな……

でもやっぱり主人公は追い詰められての底力が高いと思った。
龍神に傷を負わせたのはすごい。
ただ「一矢報いた」とまではいかないギリギリのバランス感覚がさすがだ。

あとエリスめちゃくちゃ怖がってたのにノータイムで切り込んでくるの、ちょっと感動しちゃったかも。

第60話「胸にぽっかり開いた穴」

サブタイ「胸にぽっかり開いた穴」って物理的な穴じゃねぇか!
高位存在こと人神と龍神の関係とか、色んな伏線が散りばめられてるっぽい回。
人神、龍神のことを「この世界を滅ぼそうとしている悪者」と言いながら、「竜神は本気になれば世界を滅ぼせる力を持っている」とかの矛盾が気になる。
うーん、これは話が興味深くなってきたぞ。

第61話「旅の終わり」

早速、魔法無効化の乱魔を試したり、エリスが龍神との闘いを活かそうしてたり、今後に期待が持てますね。
意外な程あっさりとルイジェルドさん脱退。
この人は主人公より強い存在として必要だったけど、エリスの師匠としての役割も大きかったですねー。

「才能+教育+努力=成長」という本作の哲学は3章以降のシリーズでもかなり顕著で、剣の師匠が年単位でついた事でエリスの成長っぷりが強調されていたように思えます。
ちゃんと努力の描写もありましたしね。こうなると本格的に主人公にも良い師匠が欲しいぞ……!

第62話「災害の現実」

エリスの両親が死んでたのもキツイけど、祖父のサウロスさんが責任を取って処刑されるとかマジか……。
主人公、”政治面で考えると処刑の必要性は理解できる”と”生かす事での難民救済へ貢献したはず”と2面性のドライな意見を考えた上で、最後に「わざわざ生還したエリスの最後の家族を殺さなくてもいいだろう」という優しい感情論にグッときました。
エリスが気丈なの辛い……

第63話「お嬢様の決意」

6章と童貞が終わる回。
1章で本作の女性関連描写への心配を挙げていたけど……あれ、ちゃ、ちゃんとしている……(驚愕
主人公やっぱり真面目で、約束を守ろうとエリスが迫ってくる所を優しく断ったりしてて、「これでいかなきゃ逆にダメ男」な所まで持っていくの上手いな。

事後、3章以降のエリスの感情の動きを丁寧に描写してるのも良い意味で想定外。
やはり陰で相当な努力をしていて、応援したくなる乙女だ。

エリス「主人公に釣り合う女性になる為、旅に出る。でも報連相は大事なので書き置きしよう。」
⇒分かる。勝手にいなくなったら心配するからな。

書き置き「今の私とルーデウスでは釣り合いが取れません。旅に出ます」
なんでやねん。ぶ、不器用過ぎる……。
そして「エリスに愛想つかされた」と思ってしまう主人公。
これ、エリスがいない間に他の女性とフラグ立たないか。
大丈夫か。

ここで6章終わり!次は青少年期 入学編みたい。
いよいよ魔法大学か?
待望していた主人公レベルアップの予感がするので楽しみですね。

「19話まで」という事で読んでいたんだけど、その後「6章まで」という事でお試し期間を延長。
で現時点で実は13章 132話まで読んでしまってるんですが、実はそこで賛否の別れる展開がおきまして、最後までこの作品を見届けようかなと思ってます。

ここまで書いたし、って事でブログにて再構成しました。
もし興味出た人は1回読んでみてください。
私がこうして読み続けるぐらいには、想定以上に面白いですよ。
ということで、次回につづく!

理不尽な孫の手 (著), シロタカ (イラスト) KADOKAWA (2014/4/24)
フジカワ ユカ (著), 理不尽な孫の手 (その他), シロタカ (その他) KADOKAWA (2014/11/23)

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