画像は書籍版の1巻から。
乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』Web版の初読感想です。
小説家になろう体験記の第4弾。

こちら、書籍もコミカライズもされている人気作品。
書籍もそうですが、コミックの表紙もとてもキレイで可愛いです。

何かアニメもやっていたようで、こちらも高評価だったらしい。
人気作品ですね。

例によって事前知識ゼロです。
その時に読んだ感想を実況形式で載せていく、いつもの方式でやっていくよー。


目次

頭を石にぶつけた拍子に前世の記憶を取り戻した。私、カタリナ・クラエス公爵令嬢八歳。

高熱にうなされ、王子様の婚約者に決まり、ここが前世でやっていた乙女ゲームの世界であることに気付いた。

そして自分が主人公と攻略対象との恋路の邪魔をする悪役令嬢になってしまっていることに…

目次ページの概要説明より

目次の概要説明から既にとんでもねぇ!
オラ ワクワクしてきたぞ!

でもこんなに突飛な概要なのに、ちゃんと分かるように書いてるのすごいな。
文章力はちゃんとしてそう。
ただ私は3点リーダー(…)は二つないと落ち着かないオールドタイプなので、そこはモヤモヤする。

前世を思い出しました まで

タイトル見ればそうだけど、主人公は女性なんですね。
8歳まではワガママお嬢様だったのに、そこから事故で頭をぶつけたきっかけで前世の記憶で庶民に戻る、と。
こんな手法もあるのか。

8歳からスタートした作劇上の理由はなんだろう。
ショートカットか、もしくは人間関係を構築し終えるためか……。

作戦会議をしました まで

自分が死ぬ直前にプレイしていたゲームの世界である事が発覚。で、自分は主人公に嫌がらせをしていた悪徳令嬢で、ゲームシナリオだと全ルートで不幸な目に合う、と。
アドバンテージはこの知識か。
運命に抗う話かな?

攻略対象キャラの紹介が一気に4人くるけど覚えきれない……。
とりあえず今は概要把握に留めるか。

「状況に対処できるように魔法と剣を鍛えよう」は私の中で適切だと思ったんだけど、早々にモノローグで無意味である事を先に告げられる。
うん、テンポが軽快でサクサク読めるぞ。
これ、もしかしてコメディか?
そして「強くなっても無意味な世界観」って……女性向けだったりする?
いや、この段階で安易なカテゴリ分けはしない方がいいか。

義弟と交流しました まで

テンポが速すぎるぞ、なんだこれは笑

既にゲーム世界と歴史が変わりつつあるんだけど、主人公の頑張りではなく単なるドジによって、状況が棚ぼた的に改善していく。
これは……コメディのノリ!(確信)
しかしまぁ、本当に生半可な読みやすさじゃないぞ。
スラスラいける。

キース・クラエスになって まで

や、優しい世界……!

主人公が驚くぐらい人の話を聞かないし、行動もメチャクチャで突発的。
でも竹を割ったような快活な性格なので見ていて嫌じゃないし、周囲も全員良い人なので当然のように事態は好転していく。
これはなかなか、ノーストレスに配慮された作品だなぁ。

第四王子として生まれて まで

何かゲーム内の攻略対象キャラとのフラグ立てが順調に進んでいるぞ。

  • 第3王子ジオルド:興味無し⇒おもしれー女扱い
  • 義弟キース:トラウマを払拭して懐かれる
  • 第4王子アラン:心の刺を抜いて懐かれる

何か普通の逆ハーレム漫画みたいな様相になってきた気がする。

読んでいてちょっと気になるのが、
・主人公パート
 ↓
・攻略対象キャラ視点で、その時どういう気持ちだったか(主人公にオチる経過)を描写
という流れが、キャラの人数分3回続いている所。

セリフもそのままで完全にアナザー視点という感じなんだけど、もう少しコンパクトに纏めて欲しいな、とは思う。
分かりやすさの配慮かもしれないけど。

現状は「自由奔放な少女が、凝り固まった王族・貴族の心を溶かしていく」という関係作りパートで一貫している。

前世知識は「本当はこういう悪い事になる」というネガティブ情報を先に出す事で、「それがこんなに改善しました」という前振りに使われてますね。
なるほど、こういう作劇方法か。

実際は良い事しか起きてないんだけど「ゲーム歴史ではこんなに悪い事が」と情報を前置きする事で、『ストレスフリーでカタルシス効果を得る事が出来る』という、画期的な話運びが実現できている。
さて、このまま良い事ばかり起きるのか、それとも今は本編に向けての土台作りに過ぎないのか……

新たな趣味ができました まで

主人公の2年間の鍛錬成果がひどい

  • 剣術:動きはひどいが勢いはすごい。
    剣の先生に「もう動きはいいから、勢いでいこう」と言われる。
  • 魔術:土を盛り上がらせる通称土ボコが2~3センチから15センチに!

少年漫画的な成長と展開が一切見込めないのを痛感させられるぜ……

不思議な少女に出会って まで

第4のゲーム攻略キャラ、伯爵の息子ニコルも主人公に陥落ゥ!
いやー、何かもう気持ち良いな。
一切の余白なく、全てのゲーム内主要人物を虜にしているぞ。

何となく、ニコルが攻略キャラの最後っぽいんだけど、じゃあ全員フラグ立てたら次はどんな展開になるんだろう。

誕生日迎えました まで

あっという間に15歳。
次回からゲーム本編の舞台である学校に行くという事で、現在の関係性と主人公のステータス確認。
分かりやすくてありがたい。
ゲーム内主人公が各ルートでやる事以上の活躍を既に本作主人公がやってるので、全く先の展開に予想がつかないな。
楽しみだ。

クラエス家にメイドとして仕えて まで

主人公にずっと仕えている冷静メイド アンの話と、これまでに主人公が変化させた人間関係の振り返り。
この作品、別視点含めて「何がどう起きたか」の説明が超丁寧なのは脱落者が出ない為の配慮かと思えてきた。
視点と切り口を微妙に変えてるので、読んでいてもギリギリ冗長じゃない。

しかし、アンも主人公にデレてたんですね。
主人公が天然人たらし過ぎるぜ。
アンの家庭背景からその経緯を説明してくれてたので、まぁ都合は良いけど納得は出来る流れ。

アンのデレた経緯を説明してるものの、今回は15歳からの学校パートに向けた地固めと、読者の認識合わせの意識が強い。
「ここからが本番ですよ」というのがビシビシ伝わってくるな。

<閑話>もう一度一緒に

ん、なんだこれ!
前世のオタク仲間だったあっちゃんも転生してるって事!?しかも攻略対象キャラであるニコルの妹ソフィアかよ。
重要キャラじゃん……

しかも前世の記憶はまだ戻ってない、と。
え……なんだこれ。
どう作用してくるんだ……?
結構シンプルなストーリー構成だったので、こんな意外性をブチ込まれるとは思わなかった。
何か爆弾仕込まれた気分だな。

特別な子と呼ばれて まで

ゲーム内では主人公キャラだった女性、マリア登場。
そして当然のように主人公の人たらしスキルに陥落してしまう。
もう無敵じゃんこの主人公……。

でもマリア視点での「自分自身を認められる喜び」はちょっと読んでてグッときました。
良かったね。

そして生徒会内に不穏因子が一人いるという描写。
生徒会長じゃねーの?

卒業式を迎えました まで

おまけは残ってるけど本編読了!

あっちゃんの伏線も鮮やかに消化。
一瞬ピンチにはなったけど、ピンチの最中でも”大丈夫ですよ感”を放ちまくってたので最後までノーストレスだった。

本作を一言で表すと、『極限までストレスを減らし、分かりやすさに特化した、ノベル初心者向け作品』ですね。

まずは『ストレス』について。
最初から「最悪の運命を覆す話」と提示されているだけあって、作中で嫌な事は殆ど起こりませんでした。
辛い過去を持つ登場人物は結構いたけど、基本的にその情報公開の文脈が「こんなに辛かったけど主人公に会って幸せになりました」なので、最後は「そうか、良かったなぁ」とホッコリ出来るという仕組み。

そして何より『分かりやすさ』について。
私が読んだノベルの中でダントツの分かりやすさ特化でした。

登場人物の本来の未来を説明
 ↓
破天荒な主人公がこれを覆す
 ↓
登場人物視点で、主人公に惹かれていく過程を追う

この3段構造自体も相当バリアフリーだし、登場人物の数だけ同じ事をやるので、話の全体像が誰でも掴めるようになっている。

ただこの『分かりやすさ特化』、登場人物視点パートが「読者が行間で推測できる事を改めて説明している」ワケなので、冗長と感じる人は間違いなくいる。

私自身は、重複しているシーンは軽く読み流せば良いので、問題とまでは感じずに読めた。
でも恐らくは賛否両論だろうな、と思う。

本作、簡略化すると「優しいけど変わりモノの鈍感主人公が男女関係なく次々と登場人物を虜にしていく話」という、ありきたりな話なんだけど、「破滅する意地悪な悪役令嬢の運命を覆す」という前提が入るだけで導入部分で脱落しにくいし、読後の爽快感が大きくアップしたんですよね。
このフックの付け方はすごい発明だと思う。

どうやら本作は、小説家になろう界隈では「悪役令嬢もの」というジャンルに入ってるらしいけど、作中に悪役令嬢は出てこないんですよね……。
他の「悪役令嬢もの」作品も、同じように悪役令嬢自体は本編に出てこないで、導入部分の独自性と物語に意味を加えるスパイスとして活用されてるんだろうか?
改めてすごい世界だな……。

ターゲット層については読んでいる最中に「男性も読める女性向け」という補足説明を受けたりもしたんですが、その分かりやすさから「ノベル初心者向け」というのが私の結論。

主人公が女性で、確かにキラキラ王子様は出てくるけど、それは「ガワの部分が女性向けに酷似している」だけで、特に女性に絞って訴求性のある内容とは感じなかったかな。

年齢も性別も関係なく「ノベル初心者」は全世帯に存在しますからね。
「小説って難しいから苦手!」と思ってるような人には、章ごとにも起承転結がしっかりあって読みやすく、爽快感のある本作は結構オススメ。
読書アレルギー解消に一役買ってくれるんじゃないかなぁ。

私も最初の数話から「これ先の展開メチャクチャ読めるけど大丈夫か」と心配してたんですけど、それも今となっては分かりやすい話展開を狙ってたのかという事で納得。

ちょっと前に読んだ無職転生が重過ぎたんだけど、「小説家になろう」というか、Webノベルってのはこういうスタンスの作品が適切かもしれないですね。
さて、ここまで語っちゃったけど、まだおまけを読んでいないのでそれも読んでいこう。

幸せになって まで

これで全部読了。

おまけは基本的には詳しく描写されなかった脇役や、メインキャラの掘り下げの寄せ集め。
最後まで読んで半ば確信したけど、やっぱり本編は分かりやすさの為に余剰を削ぎ落しているね。

おまけの内容は本編中に挿入できる話ばかりなんだけど、確かにコレ入れると多少分かりにくくなってたと思う。
もちろん、普通のノベルとしては余裕で読める範囲だけどね。

こうなると気になるのは、アニメの評判が良いらしい事なんだよなぁ。
私は滅多にアニメを見ないんだけど、ここまでの「分かりやすさ特化」は映像作品においては大した強みにならないと思う。

主人公の威勢の良さは気持ち良いので、テンションと爽快感が高い感じにアレンジされてるんだろうか?
よく分からないな。

はい、そんな感じで全編読破。
過去に読んだいずれの作品とも違っていて、面白かったです。
しかし、見事に方向性が被らないな……。
考えてみれば「なろう小説」、その傾向から新都社並みの幅広さはあって然るべきなので、なろう界隈で見ると作品傾向なんか無いのかもしれない。
であればなろう初読感想の意味とはいったい……うごごご!

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