買われたら感想書くリスト企画の第二弾、かぐや様は告らせたい 15巻感想(最終回)です。
Twitterでリアルタイムに読みながら実況したものをリライトして纏めたもの。
ちなみに過去のかぐや様感想の一覧はこちら

さて、5巻の花火回が1mmも心響かず惨敗を喫したものの、14巻のウルトラロマンティックでまさかの逆転勝利。
これで通算一勝一敗に。(ラブコメとの対戦勝敗を記録する男)

どうやら15巻でも何かあるらしい?という事で、ありがたい事に追加で贈って頂きました。
本当に頭が上がらないですね。かたじけない。

という事で15巻、何があるかは分からないけど、正直に打ち明けるとメチャクチャ怖い。
というか、自分に響く気がしない。
14巻は、それこそ単行本複数巻に渡っての壮大且つ丁寧な前振りがあってこそ私に響いたけど、15巻だと何の助走もない訳で……。
前提として、こういうラブコメ対戦企画を立てるぐらいの苦手ジャンルなので、自分に響くとは依然思えないんですよね。
もちろん下地としてキャラへの好感度は上がっているし、なるべく前向きに読むん……だけど……

という事をグダグダ言いつつ、読んでいきます。
これは感想ではない、ドキュメンタリーなのです(?)


142話

前回で表に出てきた仮称:四宮さん(氷)だけど、冒頭で「あくまで社会的側面(ペルソナ)であって、解離性同一性障害じゃないよ」と明言してくれたのは一安心。それが一番心配だったので。
入れ替わった経緯も含めてペルソナにしては変わり過ぎだけど、ここらへんは「そういうもの」として読んでいくか。

そして白銀君、ポンコツ対応!追い詰められて可哀相だけど!
四宮さん(氷)は白銀君からキスして欲しいし手を繋いで欲しいんだけど、あまりの豹変っぷりに戸惑う白銀君はそれに気付かないという。
思ったよりもいつもっぽいギャグパートで少し安心した。

というかこの入れ替わり回、もしかして長編になりそう?

143話

うおぉ、ここに来てめちゃくちゃ白銀君と擦れ違ってくるな!
四宮さん(氷)、基本的に白銀君が好きなので、冷たい中にデレが入ってるのは読者には分かるんだけど、白銀君があまりにも翻弄されてしまって気持ちが届かない。

で、次回に続く。
今回の入れ替わり話、てっきり2~3話で終わると思ってたけど……これ長編!?長編になるんじゃない!?
もしかして単行本1冊全部この話か!?

ただこの話、基本的に四宮さん視点で進んでるから気付き辛いけど、白銀君がさすがに可哀想に見えてきたんだよね。

かぐや様15巻 精神を崩す白銀会長

四宮さん(氷)は白銀君からキスして欲しいって事だけど、白銀君視点だとこの精神状態ではいけないよなぁ。
どうするんだこれ。さりげなく詰んでる気がする。

144話

現在の四宮さんの状態に対するオフィシャル呼称が氷かぐやになった。
「楽観的思考が抑えられ、本来の論理思考が強調されてる状態」か。
少しずつ氷かぐや状態に対してのリアリティが補強されていくな。

かぐや様15巻 四宮さんは全治1巻

ていうか全治1巻か!やっぱりこの15巻全部使って話を進める気だ!心してかからないと。

さて、いつぞやのケンカ回でも見た、クロス恋愛相談回。

・白銀君→四条さんに相談
・氷かぐや→柏木さんに相談

白銀君の相手が普段は接点がなさそうな四条さんなのは人間関係的には「なぜ?」って感じなんだけど、四条さんが氷かぐやの思考とメチャクチャ同調してて、相談相手として適切過ぎて笑ってしまった。
何かよく分からんけど、氷かぐやは「男から来て欲しい」だけじゃなくて、「ありふれた普通の恋がしたい」って考え方なのね。

そういう意味では……前回のウルトラロマンティックは逆効果だったって事?
いやでも14巻の脳内裁判では喜んでたもんな……。う~ん、どういう事だ。
恋愛系の話はキャラの感情が分からん!

145話

かぐや様15巻 氷かぐや「お腹が減りましたー」

うお、ちょっと可愛い感じにキャラが崩れてきてビックリ。
氷かぐやだって、白銀君の弁当が食べたい!っていういつものギャグ回。

かぐや様15巻 石上君に餌付けされる氷かぐや

氷かぐや、良い感じに崩れてきて、また別の良さがあるな。

うぉ、そんな感じでニコニコしてたら、最後に白銀君が倒れて急にシリアスになった!
心労か!?やっぱり負担キツかったのか!

倒れるのはさすがに過剰かとも思えるけど、この追い詰められた白銀君の表情がキツ過ぎるな。

かぐや様15巻 白銀会長「もっと気張れよ俺」

氷かぐやの問題だと思ってたけど、白銀君も白銀君で変に無理し過ぎでは……?

146話 『私たちの仮面(ペルソナ) かぐや編』

ん、なんだこのサブタイトル。白銀君側にもペルソナがあるって事か?
いや確かにさっきの話で「俺が俺のままだと好かれない」っていう、いつぞやの早坂さんみたいな事言ってたのは気になってた。

まぁ、先を読んでいこう。

白銀君が倒れてしまった事でショックを受けた氷かぐやの心情が公開される。
「傷つけるだけの自分は好かれないからもう替わりたい」という氷かぐやの独白が、思ったよりキツくて重かった。
まんまと「今の氷かぐやで好かれて欲しい」みたいな気持ちになってきたよ。
ここらへんの会話と演出で読者に感情移入させるの、赤坂先生上手いなぁ。

147話

何か超絶にキャラが濃い医者による白銀君カウンセリング。
これまた思った以上に白銀君の心情が重くて重くて笑えない……!

白銀君の母親は出ていったの?
幼少期から「頑張れないと見てもらえない」という体験があって、更に虚勢を張って勉強で1位を取った事で、四宮さんにも認識されるようになって……
とにかく原体験として、白銀君には「頑張らない自分はダメ」という価値観が刷り込まれているのか。これは無理するわ。

「四宮がキスしたのは頑張る方の俺ですよ」

そ、そういう認識かぁー!
ウルトラロマンティック回、確かにその観点で言えば白銀君は最大限努力して頑張って、そしてまたもや結果を”出してしまった”のか。
読者は好意的に捉えてるけども中身は結構ポンコツだし、今更自分を晒すのは怖いし無理だよなぁ。

そしてこのカウンセリングをしっかり盗み聞きしている四宮さん&早坂さん。
は、話が早い……!

ここですれ違いをさせず、ギャグ的に読者と情報共有させてくる判断はさすがだ。
今回は長尺の話だけど、それでも短縮する所は短縮してくれる。
しかしこうなると、問題は「自分を晒せない」という白銀君側の話にもなってきたぞ。

……ん、でも気付いたらアレだな。
四宮さんは今氷かぐやになってるワケだけど、「先に嫌いな自分を晒している」状態になっているんじゃないの?
「こんな自分を晒してもキスしてくれたら最高に幸せ」と思って、四宮さんは頑張って自分を晒してるって事にならん?
氷かぐやだからこそ、白銀君に言える事があるのか?

たった1話ですげー長文感想だ。

元々は「多分普通に読んだら響かないから、頑張って心情を追う事で脱落を防ぎたい」みたいな意図があったんだけど、私が作中で一番好きな白銀君の内面の話なので、ちょっと興味持って読めている。
前話もそうだけど、恋愛の話ではなく、人間の話 ヒューマンドラマとして受け止めると素直に読めるんだよね。

148話

早坂さんのファインプレーにより、間接的に四宮さんと白銀君の意見交換。
あー!やっぱり四宮さんは「弱い自分を見せようとした」から今の状態なのか!
そして同時に、白銀君が弱い所を見せない所に不満を持ってたのね。

でも白銀君に素の自分を公開させるのは酷な話なのが、前話で判明している。ど、どうする……?

かぐや様15巻 白銀会長の自室

そしてこのタイミングで初公開される、壮絶な白銀君の自室。

「本当の自分なんて一生見せるものかよ」ときたかー。逆に意固地になってしまった。
というかもう完全に白銀君の問題になったなコレ。問題点のシフトが上手い。

で、このままクリスマス突入か!うわー!どうなるんだこれ!

149話

藤原家のクリスマスと正月を混ぜた奇祭でほっこり一息。
……なんだけど、藤原家三女・萌葉のプレゼントが手錠ってのは何で……?コイツ全然キャラが掴めんな。
いや今回それどころじゃないのでスルーするけど。

150話

白銀君から四宮さんへの即興プレゼントを巡って、ついに本音をぶつけ合う二人。

白銀君は四宮さんに対して「その性格は前から分かっていたし、マイナスではない」、四宮さんも即興プレゼントが高級けん玉という白銀君のポンコツっぷりに対して「笑ったけど幻滅してない」と、双方が問題と捉えてない事を説明。

うん、話運びが上手いな。

そして――

かぐや様15巻 普通のロマンティック

う、うおおお!!
1ページまるまま使った二人が少しずつ近づいていく前振りに、白紙見開きからの小さなコマでの普通のキス!
そして最後に「普通のロマンティック」とサブタイ挿入!

ええやん!!!これはいいぞ!
というかウルトラロマンティックより響いたかもしれん!!!

いやー、何だろうこれ。すごく良かったぞ。
一体なんなんだこの感情は。これが……ココロ……か……?
色々振り返りたいけど、あと1話で15巻も終わり。読んでしまおう。

151話

いやー、素敵な話ですねぇと思ったら、四宮さんの素敵な独白と見つめ合う二人からの、改めての1ページ大ゴマキスシーンでダメージを受けて我ながら笑ってしまった。

ちょっとこの冒頭部分、恋愛色が強過ぎた。これはダメなんだな私は。
我ながら匙加減が難しい……。気を取り直して読み進めよう。

上手いと思ったのが、今回弱みを見せたけど「お互いに無理して背伸びをしたから今がある」と、虚勢や無理自体の否定をしなかった事。
これがあるだけで、また次回からも日常に戻れる。
過去も否定していない。とても大事な事だ。

その上で「疲れた時は一緒に休む」ってのは素晴らしいアンサーだ。もはや完璧に近い。

最後にリボンをして、元に戻った四宮さん。
これまでの脳内裁判や複数人格は「揺れ動く乙女のデフォルメですよ」というフォローを入れつつ、四宮さんからデートに誘って15巻終了。
うん、捨てた自分を受け入れて変われた四宮さんは、ちゃんと自分からもアプローチが出来るのだ。

15巻および、かぐや様は告らせたい振り返り

15巻読了ー!

いやぁ、当初の不安はなんのその、思った以上に遥かに良かった。
むしろとても良かった14巻をも上回る、過去最大風速を叩き出したわ。
読んでいてリアルで唸ってしまった。

まさかウルトラロマンティックすらも、今回の話の伏線にしてくるとは思わんよ!
外側の自分と内面の自分、半分ずつ受け入れていくこの二段階構成はマジで素晴らしかった。

物語自体の出来が良かったのもあったんだけど、こと私に関して今回ウルトラロマンティックよりも響いた理由は、

  1. 白銀君の内面の問題に切り込み、恋愛ではなく人間ドラマとしての側面が強かった
  2. 普通である事を示す為のささやか演出が好みだった

の2点だからだと思う。一つずつ触れていこう

1.白銀君に切り込んだ人間ドラマ

苦手克服回が大好きな私は、やっぱり白銀君が一番のお気に入り。
その白銀君の問題点を今回明らかにしてくれたのは大きかった。

何より驚嘆すべきは15巻に至るまで白銀君の問題点を作中で明示しなかった事。
いや、よくここまで描写を我慢したよなコレ。だからこそ、衝撃度も強かった。

人によって見せたくない側面があるのは誰でも同じで、とても共感出来る。
更に読者はウルトラロマンティックで大成功をしたのを見てるし、普段の苦手克服回を見ている。
これは恋愛以外の事にも通じる問題なので、とても興味を持って読めた。

やはり主軸に恋愛以外の要素を感じられると、私には響く。

2.普通である事を示す為のささやか演出

ページは見開きにしつつ、敢えてコマを小さくとって、普通のロマンティックを演出してくれたのが良かった。
「背伸びせず通じ合えた等身大の二人」という意図の方が強く伝わったのよね。

大ゴマキスシーンだとやっぱり恋愛的な絵力が強いので、私個人としてはちょっとキツイのだ。

あとアレね、ウルトラロマンティックがまさかのステップ扱いになっていて、話の構成がメチャクチャ作り込まれているのも私好みだった。
一連の話、マジでよく出来ている。

仮にウルトラロマンティックが響いていなかった場合、連鎖的に普通のロマンティックも響かなかったかもな。
そう考えるとウルトラロマンティックも響いてて良かったよ。

いやぁ、良い最終回だった。
そう思えるぐらい、何か今回で終わりでも違和感がないぐらいだった。

いやこれは人気漫画になるよなぁー。
そりゃ実写映画になるわ。2回もなるわ。完成度が高い。赤坂先生はすごい作家さんだ。
五等分の花嫁とはまた別ベクトルで完成度が高い。素晴らしい構成力だ。

私は10巻まで読んで「もう十分だ」と思っていたし、14巻まで読んで「ここがピークか。良い漫画だった」と思っていたけど、とんでもない!
15巻も使って、二人の性格や内面を明らかにし、そしてそれを受け止めて通じ合った二人を描いてくれた。
主軸は恋愛だったけど、恋愛だからこそ深く深く人間を描く事が出来たんだと、今なら思う。

ここまで読めて良かった。続刊を贈ってくださった方には感謝しかない。

以上かな。
振り返ってみると、これで2勝1敗で勝ち越しだ!やったぜ!ありがとうございました!

『かぐや様は15巻までちゃんと読むべし』

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