『異世界十本勝負』の初読感想。
小説家になろう体験記第3弾ですね。
私が認識してる範囲では、多分メディア化はしていないと思う。
ちょうど『無職転生』の初読感想が終わって燃え尽きた時に、箸休めとして紹介された作品なので、短さ重視のチョイス。
それに応じて感想量も少ないので、パッと読めると思います。
一戦目:vs.トロール
目次とタイトルだけで色々な異世界モンスターと戦っていく話というのが分かる。
サブタイトルに書いてあるモンスターと戦っていく話みたいね。
短編小説はテーマ特化だと思うから、これは戦闘描写に特化した作品なのかな?
私自身、今まであまりライトノベルにご縁がなかったのもあって、読んだ事がないジャンルだ。
正直読む上で不安があるな。
三戦目:vs.ヴァンパイア
主人公の得物が太刀なので、わざわざ帯刀を”佩く(はく)”と表記してたり 、「居合の予備動作である鞘ごと引く動作で背後からの攻撃を潰しました」とか、この作者さん、明らかに”剣戟が好きな人”だ!
でも主人公、ヴァンパイア領主の国に押しかけて斬り殺すのは明らかにヤバい人。
そういうの気にしちゃダメなのかな……
四戦目:vs.セントール
セ、セントール……?
なにそれ、どんな種族だ。
読書に支障が出るっぽいので、悔しいけど調べてみた。
なるほど、半馬半人のケンタウロスみたいなやつか。
ていうか余波でスゲー作品を見つけた気がする。
『無職転生』の時には気にならなかったけど、ファンタジー読むには一定の下地が必要な時もあるんですね。
それでもネット小説、分からない単語はGoogle検索をすればOKなので問題はない。
五戦目:リザードマン
主人公が辻斬りをしていく理由は一応示されたので、まぁいいのか。
ちょっと関心するのが「自分の特徴を生かしたモンスターの武人」の解像度が抜群に高いこと。
読んでいてナルホドとなる。
種族の特徴を生かした、人間とは違う戦法と、それに適した武器のチョイスをしっかり考えていて、ファンタジー世界のモンスターが戦うという事に正面から向き合っていると思う。
短編ってテーマ特化になるけど、恐らく今作はそれに注力しているんだろうなぁ。
九戦目:vs.ワークロウ
方向性が分かると読みやすい。
モンスターの異形を生かした戦い方と、人間がそれをどう攻略するかを楽しんで読み進める。
で、ワークロウって何だ……。
こんな時こそグーグル検索だ!
先程のセントールもそうだけど、分からないことは調べればよいのだ。
お、おう。なるほど……
ワークロウ、読み進めたらカラスの羽をもった人型なのね。
ちゃんと説明してくれて助かる。
- 羽と足をそれぞれ使うので2回分の移動ができる
- 鋭い鉤爪があるので貫手が強い
- 飛行用の発達した筋肉を活かした奥の手
うん、かなり正面から真剣にモンスターの戦闘方法を考えており、素晴らしいな。
十戦目:vs.人間
最後は身体能力を激増させた人間、と。
確かにモンスターだ。
最後、主人公の決め手が反則的に強力な技だったのは正直ちょっと残念。
よし、読了!
あと、世界観は最低限の描写になってるんだけど、この世界の勇者と魔王のシステムはよく分からんかったな。
でもそういう設定の細かい説明を求める作品じゃないのは分かっている。
本作を読むに、作者さんは硬派な剣戟小説が好きなんだろうな。
“小説家になろう”への投稿に際し、「異世界ファンタジーというトレンドに合わせつつ自分の得意で好きなものを正面から書いたらこうなりました」という印象だった。
モンスターの武人考証は正面から考えてリアリティが出るようにしているけど、最後の人間以外のモンスター武人に全てオリジナルの流派名を用意してるあたりに、ちゃんと作者のロマンも反映させている。
実際に手に取った事はないんだけど、「既存ジャンルの小説に異世界ファンタジー要素を取り込んだ作品」の一つなのかな。
今回で言うと「剣戟小説+異世界モンスター」と言った所。
でも偏見よりもずっと硬派な内容で、なろう体験記としては、こういうのにも触れておく意味はあったな。